2月2日(月)
まだ寝ていてもいいが、と思いながら10時半ごろ目を覚まし、しばらく布団で過ごし、起き上がると足が捻挫したような痛みで、起きてから布団を出るまでのあいだ、変な姿勢でスマホを見ていたのだろう、みたいなあまり根拠のない理由をつけるとすっかり納得して、少し変な歩き方で廊下を歩いた。
時間もあまりなかったが、いくつか月曜の仕事を進ませると家を出て市ヶ谷に。お気に入りのセブンに行くと本間くんがいて、いつか本間くんにもこのセブンを見てもらいたかったんだ、と言った。本間くんは大荷物で、荷物の詰まっていそうなリュックの他にキャリーバッグも引いていた、福岡から岡山を経ての市ヶ谷とのこと。 今日は橋は渡らずに別のビルに向かって、地図を見ると、星がついていて、かつて一度行ったことのあるビルだと知れた。後に『本の読める場所を求めて』になる原稿を持ってだったか、なんだったか、それ絡みで、何かで、それが、そのあと、どうなって、どうして話が頓挫したのか、思い出そうとしてもなんにも思い出せなかった。
打ち合わせを終えて本間くんはドトールに行くということで、僕は今日は仕事をぎゅっとやる必要があったので、僕も行き先はドトールみたいなものだが、そこで別れ、初台でシオール。シフトまでの2時間ぎゅっと働いて店に行き佐々木さんと交代し、夜もちょこちょことお客さんがあって軽快に働いた。 終えるとビールを飲んで、今回の料金改定でビールの種類を減らした、だからなくしたビールを空けていけばスペースができる、それを一手に僕が引き受ける、だから懸命にビールを飲んだ。 調布に戻るとスーパーで豚肉としいたけを買って帰り、夕飯は塩焼きそば。豚肉としいたけと長ネギと蓮根と小松菜でおいしくできた、リヴァプールとニューカッスルの試合をぼんやりと見て、久しぶりにクローザー的な役割として遠藤が投入されて、点差はあったし短い時間だった、もちろんたくさん出場するに越したことはないけれど、そうであれなんであれ、リヴァプールの一員として公式の試合に出るなんて、すごいことだよと思い、「なんであれすげえよ」と私はひとりごとを言った。こういうのは本当はよくないことかもしれないとも思った。ちょっと性質が違うような気もするけれどこういうのと、政治家を変に一般市民と同じ目線で見ていろんなダメなことを許してしまう心性は、どこかで繋がっているのかもしれない。ちゃんと別世界の人間とみなして批評することこそが敬意なのかもしれない。
今夜も入団すると「テンプルは自分が口をあけており、口が何かの音を出していたに違いないと気づいた」「そうだといいわと言っている自分の声が聞きとれた」「テンプルは自分がサイコロに向って叫んでいるのを聞いた」、そういう記述が続いて、部屋に入り、レッドが入ってきた。
彼は近づいた。テンプルは動かなかった。両眼は情欲にますます黒ずみ、眼球はぐるりと上にあがり、焦点を失って三日月のように白眼をむきだし、銅像の眼のもつ空疎なこわばりをみせていた。末期の人の声で、アー、アー、アーと言いはじめ、精巧な拷問具にかけられたかのように体をゆっくり上へそらしていった。彼にさわられると、弓のようにはねかえり、彼にとびつき、口を死にかけた魚のように醜くあえがせ、腰をすりつけた。
フォークナー『サンクチュアリ』(加島祥造訳、新潮社)p.314
徹底的にテンプルを壊れた人形みたいに描く感じが凄い。ところでレッドって誰だっけ、いつ出てきた人だっけ、と思いながら読んでいる。