2月22日(日)
遊ちゃんがどこかに行くという時間で少しだけ起きて、また寝て、振動を感じて起きると佐々木さんからの着信で時間は11時50分だった。ゆっくり寝たものだ。この着信はなんだろう、これは、寝坊かな、と思いながら出るとシンクの排水溝が詰まってしまったということで、排水溝をがしがしするワイヤーの存在について伝えた、そして起きて、そんなに時間はないので数分ぼんやりするとお湯を沸かしてうどんで、遊ちゃんは鍼に行っていたみたいで、帰ってきて、このあと下北沢に行ってそれから渋谷に行くのだそうだ。人形劇の映画祭みたいなやつと、そのあとユーロスペースでホン・サンスということだった。ユーロでは今レオス・カラックスもやっているそうで、アレックス三部作とかが掛かっているとのこと。こうやって何度も何度も取り上げることで、世代を超えて、名作が名作として強化されていく、というのは、とても素敵なことに思えた。『ポーラX』もやっているらしく、僕はこの作品がやたら強く作用している、僕を規定する何かのひとつでもある気がする、それは昏いものではある、縛られている、うどんを啜りながら私はそう話した。遊ちゃんは一瞬カラックスになびきそうになったが、やはりホン・サンスにするとのこと。
一緒に出、電車に乗る。明大前で遊ちゃんは乗り換えで、僕は笹塚で乗り換えで初台。着くと満席で、そしてワイヤーチャレンジはうまくいかなかったみたいでシンクは詰まっていた。腕の見せ所だと思ってワイヤーでごしごしするが状況は変わらず、佐々木さんは用事があって出て行った。ちょっと焦る気持ちになってきて、ここで僕がごしごしがんばっていたら店のほうが詰まる。なので長谷川さんに託して僕はオーダーをこなすことに専念し、少し慌てながらこなし、少しすると長谷川さんが「取れた」と言ったので見ると、流してしまった排水溝用のネットがワイヤーの先端に引っかかっていて、拍手をした。安心し、そして仕事を進め、スピーディーによく働いた。佐々木さんが戻ってくると店は落ち着き、僕は出させてもらってシオールに行ってぎゅっと働く。戻り、佐々木さんが帰り、渡部さんと。なんだか今日は忙しい日になっている、そこに仕込みが詰まっている、うまいこと回し、間隙を縫いながら猛烈に仕込みを進め、終わると、ふーっと息を吐いて、ごくごくとビールを飲んだ。
帰り道でゲロを踏んだ気がする。途中から靴の裏がつるつるして、足を地面に擦り付けながら帰り、通らなくていい公園の中を通って、土の上を歩いた。靴な裏の汚れというのは、どれだけ歩いたら落ちるのだろう。
帰るとハンバーグ、人参のラペ、大根とがんもどきの煮物、遊ちゃんがこしらえたスープをいただき晩ご飯で、スープがすごくおいしかった。細かく切られたブロッコリーと鶏ひき肉ときのこと生姜と長ネギとかっぽい。つくり方を知りたい。 布団に入ってつくり方を聞こうかと思ったが遊ちゃんはすやすや寝ているので起こしてつくり方を聞くのも憚られるし急用でもないのでそうすることはせず、フォークナーを開いて、老婆の語りが続いている。歯応えがあるというか一行ずつなかなか進まない。サトペンという人がどんな傑物というか悪いやつなのか今のところはわからない。サトペンという名前は素っ頓狂だ。小学生がつけるあだ名みたいだ。スペルが想像できない。Satopenだろうか。Satopen以外は浮かばないが、Satopenではないだろう、という気持ちがある。