3月9日(月)
今日も遅く起きて、ここのところ弛んでいるような気がする。弛んでいるというより生命力がない感じ、ぼんやりとした不安が体を取り押さえるまではいかないが進路を阻む感じで、ちょっとどいてと言っても聞いてもらえないので、狭いところを通らないといけないので、いちいち手間がかかる、それで総じて動きが悪い、そういう感じがして、仕事をし、昼はかけうどんにして、かけうどんはやっぱりなかなかよくて、それから目の前の些事的なものを潰していくと5時で、些事だけでこれだけ時間が取られるのだものなあ、と思う。
スーパーマーケットに行き、豚肉とお煎餅とかを買った。帰るとお煎餅の袋を開けて、すっかり気に入った「手ちがいせんべい」というやつだ。勢いよく開けるときれいに開かず、裂けちゃう、裂けると、取り出すたびに引っ掛かりがあるので、不便だし、手も余計に汚れる、だから、いくつか前のときにすごくゆっくり丁寧に開けた、そうしたら、普段通り変な裂け方をして、ショックだった、それからも、丁寧に開けているが、必ずしもその丁寧さに応えてはくれなかった、そこで今日は、ハサミを使ってみた。すると、ハサミというのはそういうものだが、きれいに切れて、なんの引っ掛かりもそこにはなさそうで、別世界だった。畳まれたところや、裂けたところ、接着部のシワシワ、そういうのがまったくない、ただの穴。ハサミというのは立派なものだった。 それで早めに風呂に入ってリフレッシュを果たすと夜は頭を使う仕事ということにして、新規リピート分析を始めて、クロちゃんと相談をして、問いを見つけていった、そして整理ができるとソルちゃんに依頼してスクリプトにしてもらった。出してみたのは月別の新規・再来店者数の推移、来店回数別の人数分布、初来店から180日以内の再来店率、平日来店者と休日来店者の重複度、時間帯別・曜日別の来店数の分布とかで、日々の細かいデータ化が動いている今や、出せないデータというのはないように思えた。しかし来店分析というか新規リピート系の分析というのはこれまでの他のものにはない性質があって、扱いが難しいというか、分析の仕方ひとつでまるで違う表情の結果になる感じがあって、常に、なぜこの分析をするのか、それは何を知るためのものなのか、みたいなのを抑えておかないといくらでも迷子になりそうだった。やっているなかで、左側打ち切り問題というものについて学んだ。取得するデータの開始時期によって、変なことが起きるというやつだ。たとえば2025年1月からここまでの新規リピーターの数を出そうというときに、2025年1月には本当はそれまでに来てくれていたリピーターの方が含まれるのに全員新規扱いになっちゃう、的なやつだ。
遊ちゃんが帰ってきて、今日はオフィスに遅くまで残って数字と睨めっこしていたそうだ。そのときにがんばった作業を見せられ、こういうときはどうしたらいいのかと訊かれたので、これはIMPORTRANGEの番だと思って、難しい数式ではないにせよ、空で書けるとは思っていなかったIMPORTRANGEの数式を入れると、バッ、とそれになり、遊ちゃんは、唖然とし、今日のあの苦戦した時間はなんだったのか、とショックを受けた。しかしその時間は無駄ではない、その苦戦した時間こそが、「どうすればよかったのか」という問いを生むわけだった。問いを持つこと、したいことを持つこと、それこそが大事だ、そして、期待してみること、信じてみること、それも大事だ! と私は大声で話した。
カブと豚肉と舞茸の炒め煮、人参のラペ、ほうれん草と玉ねぎの味噌汁、カクテキ
食後、再来店のコホートのやつが面白く、コホートって初めてつくったが、コホートって面白いものだった。最初は去年の夏くらいから如実に数字が悪くなっていて、認められなかった、こんなに数字が悪いことはないだろう、これでは整合性がないだろう、という頭での部分と、こんなに悪い数字は受け入れられない、みたいな、否認の部分もあった。なんせ、ある月から如実に再来店の率が下がっていたら、店の体験の質が悪くなっていることになりそうなので。それで否認して、何か変なロジックになっているのではないかと質したところ、よくわからなかったが、何かの解釈が違っていたということらしく、それで再び出してみると、とてもいい数字というか、納得できる数字になった。月ごとの大きな変動は見られず、それは料金の仕組み改定後も、期間は短いとはいえ、そのようだった。そうか、これを継続して見ていけば施策の影響みたいなものを見られるのか、と大発見みたいに思い、じゃあ逆に何を見られると思ってつくっていたのか、と思いもするが、そういうものだ、つくりながら、見ながら、理解していくものだ。
3時になった、遅くなった、ここのところの弛んだ感じから張り切った気持ちに切り替わっているのを感じて、本を開くとミス・ローザがまだまだ斜体で語り続けている。ボンは不在だった時はおり、帰って来た時はいなくなり、三人の女がなにかを土の中に埋めて泥をかけると、彼は一度もいたことがなくなったのですという調子で語り続けている。遊ちゃんが、生年月日、と言った。個人情報を入力するたぐいの夢でも見ているのだろう、と私は考えた。