4月7日(火)
電車に乗っているとスーツの男が体を前に折り、片腕はピンと上に伸びて吊り革をつかみ、もう片方の手はお腹に置き、苦悶の表情をしていて、「通勤中 のぼり電車でくだる腹」とコピーがあり、突発性の下痢止めの薬の広告ということで、これは刺さる広告だ、持ってたら安心だ、と通勤中にこれを見る全員が思う。
昼番。10時半から佐藤くんとミーティングの予定だったが体調が悪いようでキャンセルとなり、今日は今日も準備は少なく、昨日は悪くない日だったが急ぐ仕込みはないようだ。今日は夜に帰ったらそこから調停の準備で、資料を読み、表にまとめ、グラフ化し、質問事項をまとめる。だからそれまでに今日やるべき仕事はやらないといけない。昨日決めたようにClaude Codeの改善とかはやってはいけない。ブリーフィングに対するフィードバックを記録していく場所をまずつくって、でもしっくり来ない感じもあり、最終的にはrecentというディレクトリをつくってそこに最近の仕事の文脈の説明や成果物とかをどんどん置いていくことにして、それはプロジェクト単位でも、大きめのタスク単位でもなんでもよく、とにかく放り込んでいく、整理は後回しにする、みたいにして、ということをやってみた。またセッションの終わりに随時そこに記録していく提案も出すようにさせて、話し、放り込み、話し、放り込み、それができると最終的にあるべき姿みたいなものも自ずと浮かび上がってくるかもしれない。
カレーを食べると店を開けて昨日とは打って変わってゆっくりの日で、肌寒い、冷たい日だったし、少し雨もぱらついていた。レモンシロップの仕込みをやったりするが、急ぐ仕込みはやはり少なく、座っていて、今日すべきタスクのいくつかを潰していき、佐々木さんが来るとドトールに行き、戻り、休憩を回し、急激に強烈に空腹を感じ、お腹ぺこぺこ、と佐々木さんに伝えると帰った。 なので調布に着くとチョコのパンを買い、それから大根と豚肉も買った。今晩は昨日遊ちゃんがつくっていたやつをつくろうとしているようだ。帰ると少し緊張を覚え、まず風呂に入り、リーズとウェストハムのFAカップの試合を見ながら浸かり、上がると仕事に取り掛かった。まずは甲第15号証として出された賃貸物件情報を表にまとめていき、それは賃貸物件サイトのページをプリントアウトしたものだが、横には比較したい物件はこれですよと丸枠数字が振られているが、杜撰で、賃貸物件サイトだと同じ物件が複数の結果として表示されることがあるが別の数字が振られていて、だから数字としては9まであったが実際は6とかで、なんでこんなに雑な仕事ができるのだろうと目を疑う。で、見比べると、今回は駅も異なり広さも異なり階数も異なり駅徒歩も異なり比較条件としてまったくおかしな物件群で、駅徒歩1分の物件と比べられましてもだし、デザイナーズマンションと比べられましてもだし、目眩しにしか思えないものだった。それはやはり瞬間的な目眩しとしては成功していて、まず広さや家賃や築年数だけを入力している段階だと、え、これはいい比較というか、僕たちにとって分が悪いかも、と一瞬ぎくっとしたりするところがあった。ぎくっとしているところで遊ちゃんが入ってきたので、ごめんちょっと集中するね、と言って出て行ってもらった。今回は面積がだいぶ異なる物件が多かったので面積補正にも復活してもらい、経年、面積、駅相場、それぞれの各種補正を掛けていけばやはり私たちの物件はすでに妥当なレンジに収まっているのが知れた。安心だが、前よりは直観的ではなく、やはり目眩しというのは厄介ではあった。比較表、グラフ、そして最後に質問事項の7枚の資料をつくっていった。
質問事項
①「全国賃料統計(+5.93%)」を増額根拠の主指標として採用しなかった理由はなんでしょうか? 全国賃料統計の2倍以上の増額率(+13.33%)ですが、この差を正当化する個別事情は何でしょうか?
②直近合意時点について、たとえ更新時に明示的な協議がなかったとしても、さらに遡った契約時を基準にすることが、本件のようなケースで一般的といえる根拠は何でしょうか?
③そもそも、甲第5号証、15号証の比較物件は現在貸し出されているもので、各種指標の上昇はすでに価格に反映されているはずです。各種指標の上昇を賃料増額の根拠とされる理由はどのようなものでしょうか?
④甲第15号証は駅・駅徒歩・階数・設備等、条件にばらつきがあります。本件と同等条件に限定した場合の評価はどのようになるでしょうか?
⑤「経年による減価年率1%」「10㎡あたりの単価低減1%」として試算しました。これより妥当だと思われる具体的な数値があれば、その根拠とともに教えていただきたいです。
⑥補正後の平米単価をプロットしたグラフを見ると、現在の賃料が極めて妥当に見えます。設備が1世代・2世代新しく、駅徒歩が近く、エアコン設置や追い焚き、オートロック等が当然ある他物件よりも、高い位置にプロットすることを正当化できる具体的要因はどのようなものでしょうか?
⑦本件は比較物件のなかで築年数がもっとも古く、かつ空調設備設置不可能の居室1室、エアコンの自費設置2室など、設備面に制約があります。これらの条件差があるにもかかわらず、比較物件と同等以上の賃料水準と評価される理由は何でしょうか?
⑧なお、本件と築年数・面積等が近似する物件として、本件と比して約13%低廉である事例番号Aも確認されています。このような同条件帯の中で、本件賃料が増額すべき水準にあるとする根拠は何でしょうか?
⑨駐輪場代について連絡を受けたのは去年8月が初めてです。それ以前に説明を受けた記憶はありません。仮にこちらが失念したとしても、それ以降の4年間にわたって請求や連絡が一度もされなかったのはなぜでしょうか? また、このような場合に4年間分を遡って請求する根拠はどのようなものでしょうか?
時間が遅くなっていき、今からご飯を食べるのが面倒となった。もう今日はいい、先に印刷も済ませたい、そうなり、PDFをネットプリントに登録すると出て、セブンに行くと3部印刷し、ビールを2缶買って、飲み飲み歩き、家に着くと続けて飲み、チェーンドリンキングだ、それは、ここに生じている、ふざけんな、という気持ちを表現するパフォーマンスでもあるように見えた。 飲み終え、しかしご飯を炊いちゃってはいたので小分けして釜を洗い、それで寝。ミス・ローザが手斧をクェンティンに渡してきて、クェンティンたちは家の中に入り、そこにはクライティがいて、ミス・ローザは階段を上がろうとして、クライティはそれをとどめようとして、ミス・ローザはクライティを拳で殴って、上がっていった。クェンティンも上がっていき、いけない、いけない、と思って、しかし、だがどうしても見なければ、どうしても見なければ、と思って、鎧戸の閉ざされたかび臭い部屋の中に入った。ベッドには胸の上に手を組んだ、死体のような姿勢で寝ている人間がいた。
それであなたは―? ヘンリー・サトペンだ。 それであなたはここに―? 四年間だ。 それであなたが家に帰って来たのは―? 死ぬためだ。そうだ。 死ぬためですって? そうだ。死ぬためだ。 それであなたはここに―? 四年間だ。 それであなたは―? ヘンリー・サトペンだ。 ウィリアム・フォークナー『アブサロム、アブサロム!(下)』(高橋正雄訳、講談社)p.247
かっこよくて痺れる。むしろこのページが四重に折られていたらしっくり来るというか、単純に衝撃を受けやすい、受けるよねと思う、そういう箇所だった。昨日のところはなんというか、高尚というか、高等というか、かっこいいね、20年前、そこ、と私は考えた。